INVITATION

KONDO Laboratory in Shizuoka University

配属をお考えの方へ

はじめに・・・

研究室に入るために

 無機化学系の講義、特に構造錯体化学と反応錯体化学は必ず、履修しておいてください。研究テーマ、設備、予算 面において、思う存分、研究に没頭できる環境をつくっていますので、ぜひ、やる気に満ちた人に入っていただきた いと考えています。

錯体化学の面白さ

 大きく分けて3点あります。

 1つ目は、予想外の構造が生成することが非常に多いことがあげられます。金属イオンは炭素や窒素などに比べ て、多様な配位形式(結合形式)をとるうえ、電子状態も非常に複雑です。したがって、実際に合成し、構造を決定 してみると、予想もしなかった不思議な構造を取っていることが非常に多く、次々と新しい発見に遭遇することがあ ります。実際に、実験を行っている学生も含め、アイデアと経験、および偶然を見逃さない注意力によって、これま で斬新な研究を切り開いて参りました。

 2つ目は、新たに合成した化合物が有機化合物や無機化合物にはない特徴的な性質を持っていることがあげられま す。金属錯体は、金属イオンの電子状態を利用することで、様々な機能分子を設計、合成することが可能です。たと えば、発色、磁性(磁石としての性質の発現)、電気伝導、触媒活性、などの機能発現には、金属イオンの利用が非 常に有用です。当研究室では、これらの金属イオンを利用することで、新しい機能性金属錯体を実現してきました。

 3つ目は、当研究室の特徴でもありますが、内容が異なる複数の研究テーマを平行して進めており、これらの研究 における個々の発見と知見を組み合わせることにより、新たな発見とノウハウを築いてきた点があります。多くの研 究を身近に見聞し、議論を重ねることで、自分の研究に生きてくる点が当研究室の強みでもあると考えております。

研究・発表について

配属されてから研究を行うまで

 まずは、配属が決まった段階で各自に研究テーマが与えられます。大体のテーマが先輩からの引き継ぎとなります ので、先輩から直接研究の指導を受けて研究を始めることになります。一通りの実験手順を覚えたあとは、独自に研 究を進めていくことになります。数ヶ月もすれば自分で考えて様々な実験を行えるようになります。

 研究はテーマにもよりますが、かなり自由に進めることができ、また、それらの実験を進めるために必要な測定 装置も充分に保有しており、効率的な実験を行えるのが特徴です。

当研究室で身につく技術

 配位子は通常有機化合物ですので、有機合成を行います。また、金属イオンと有機配位子を反応させる意味での 無機合成を行います。場合によっては、空気に不安定な化合物を合成する必要性があり、いわゆるシュレンクテク ニックを身につけることが可能です。測定装置としては、HP内に示した多くの機器を利用することが可能で、得ら れた構造や機能解明に有用な分子軌道計算までも行えるようになっています。

 また、積極的に学会に参加し、プレゼンテーション能力など向上も目指しています。可能な限り、多くの技術と 知識、そして科学を研究する上で有用な、新たな発想とロジカルな考え方を身につけて卒業して欲しいと思ってい ます。

ゼミについて

 一週間に1時間30分くらい、定期的に、当研究室のゼミを行っています。実験の結果についてまとめたものを 発表し、全員で議論を行います。 ほかのメンバーから意見や広く集めて、今後の実験の方針を決めています。 半期 に2度程度、発表当番が回ってきます。

 また、毎週、無機分析グループによるゼミを行っています。自分の研究に関連した論文を読み、 まとめた上で、 発表を行います。1年のうちに1度担当します。前期には大学院生が、後期には 学部4年生が 発表を担当します。

学会や学内での発表について

 学会へは、9月の「錯体化学討論会」にほぼ全員が出席し、あとは成果に応じて、大学院生になると、多い場合 には1年のうちに、4〜5回ほどの学会に参加しています。

 学内での発表は、大学4年生の場合、秋に中間発表会、2月下旬に卒業発表会が行われます。大学院生の場合は、 M2の5月に中間発表会、2月上旬に卒業発表会が行われます。卒業をする際には、大学院生はもちろんですが学部 生も卒業論文を書きます。

 その他必要に応じて、他大学、あるいは他機関での測定やシンポジウム、研究会に参加しています。

学会等での金銭的な補助について

 学会等の参加発表について、旅費、宿泊費、および参加登録費など、学会の参加に必要な経費を研究室から支援し ます。研究成果を発表し、議論 することで、 更なる研究成果が生まれることを期待して、可能な限りの支援を行っています。

研究環境について

研究環境はどんな感じですか?

 実験台の個々のスペースに加え、個人机も一人ずつに割り当てています。特に、実験室以外に居室を用意してお り、データ処理は、各個人の机を使用して行えるようになっており、自分のスペースを確保して、じっくりと研究に 集中できるよう設計されています。

 研究に必要な機器類も、研究室の発足当初に比べて、かなり充実しました。合成に使用するHPLC、FT-IR、 元素分析、合成した錯体の機能や性質の解明に有用なサイクリックボルタモグラム(CV)、ガスクロマトグラ フ(GC)、分光スペクトル(UV-Vis-NIR)、イオンクロマトグラフ(IC)を当研究室で所有しています。これに加 えて、機器分析センターに設置されている、NMR、単結晶構造解析装置、粉末X線回折装置、熱分析装置(TG)、 示差走査熱量分析装置(DSC)、ESR、質量分析装置、などが使用可能です。また、得られた化合物の構造や機能 を分子軌道レベルで理解する為に、高度な分子軌道法プログラムパッケージ SPARTAN、および DV–Xαプログラム を使用しています。

 これまでの研究成果をもとに発展させた研究課題が、科学研究助成金、財団研究助成、および経済産業省からの 公募予算などに採択され、研究に必要な予算を確保しています。

研究室の雰囲気

 和気あいあいとした研究室で、実験室や控室でも話し声が絶えない明るい研究室です。個人のペースで実験を行う ことが多いので、自己管理のできる人が多いと思います。また、研究熱心な人が多く、研究内容のディスカッション も盛んに行われています。

コアタイムなどはありますか?

以下の表をご参考ください

平日 土曜 日曜・休日
9:30~18:00 予備日 なし

 セミナーなどが無い場合は、朝は通常、9時30分くらいから始まります。夕方は、6時くらいまでとしていま すが、7時以降まで実験することが多いです。ただし、学会 や学内発表、ゼミなどの準備のために夜遅く、場合によ っては日曜日・祝日返上で作業をすることも多々あります。日・祝日はお休みで、土曜日は来研の義務の無い予備日と して利用されています。

イベントと進路について

楽しいイベントはありますか?

 大体、月1回くらいのペースで研究室で飲み会が開かれます。あと、イベントとしては研究室のメンバーで相談 して毎年1~2回ほど、遊びに出かけたりしています。

卒業生の進路について

 かなりの学生がそのまま大学院に進学しています。修士課程を修了するまでに、合成、測定、および分子軌道 計算、など一通りの研究技術を身につけて社会に出て頂きたいと思っています。就職先としては、概して、化学 系企業の研究職、技術職につく卒業生がほとんどで、これ以外には、高校等の教員として活躍している方も数名 います。幅広い多様な研究技術を身につけた上で、偏りの無い柔軟な思考に基づいた研究開発ができる、という ことで、就職先の会社の方からも高い評価を頂いております。

他にも知りたいことがあればコンタクトよりお気軽にお問合せください。